Silent Flower Cracks Concrete

個人的な雑感、備忘メモ

邪道と王道

最も好きな小説家を三人挙げるとしたら、全員著名な大作家だが、村上春樹森博嗣小川洋子の名前を挙げたい。

村上春樹は、自著『職業としての小説家』で述べているように、音楽を演奏するように小説を書いている。森博嗣は、小説家になることは手早く大金を稼ぐ手段だと言いつつも、工作をするように小説世界を組み上げ、確かなメッセージを伝える器として使おうとしている。

他の本質を以って(持ち込んで)そのものに向き合う言わば「邪道」であるこの二人のアプローチは、却って小説というフォーマットの本質を抉り出しているように思える。

一方で小川洋子は、どこまでも確かに小説を書くように小説を書いている、そんな印象を受ける。文体は緻密で静謐な空気感が一貫しており、小説というフォーマットでしか現れない想像力の具現化を感じ取ることができる。

邪道と王道。アプローチは違えど小説のコアに近づく力は同じであり、その絶え間なく力強い歩みに強く惹きつけられる。